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抄読会:輸血の保存期間が長くなっても有害転帰リスクは上がらない

Effect of Short-Term vs. Long-Term Blood Storage on Mortality after Transfusion

Nancy M. Heddle, M.Sc., Richard J. Cook, Ph.D., Donald M. Arnold, M.D., Yang Liu, M.Math., Rebecca Barty, M.Sc., Mark A. Crowther, M.D., P.J. Devereaux, M.D., Ph.D., Jack Hirsh, M.D., Theodore E. Warkentin, M.D., Kathryn E. Webert, M.D., David Roxby, M.App.Sc., Magdalena Sobieraj-Teague, M.D., Andrea Kurz, M.D., Daniel I. Sessler, M.D., Priscilla Figueroa, M.D., Martin Ellis, M.D., and John W. Eikelboom, M.D.
N Engl J Med 2016; 375:1937-1945November 17, 2016

Abstract

Background

長期保存された血液を輸血しても患者の有害転帰リスクが上昇しないことは無作為化比較試験で示されているが,そのような試験の大半は高リスク集団に限定されており,死亡率におけるわずかでも重要な差の検出力がなかった.われわれは,一般入院患者集団において,血液の保存期間が輸血後の死亡率に影響を及ぼすかどうかを調査した.

Methods

4 ヵ国 6 病院で行われた実用的無作為化比較試験にて,赤血球輸血が必要な患者を,利用可能な血液のうち保存期間がもっとも短い血液を輸血する群(短期保存群)と保存期間がもっとも長い血液を輸血する群(長期保存群)に,1:2 の割合で無作為に割り付けた.予備的データから,血液型が B 型と AB 型の患者では,平均保存期間の差が 10 日以上という目標に達しないことが示唆されていたため,主要解析の対象は A 型と O 型の患者のみとした.全例が現在の標準治療と同じ治療を受けるため,書面によるインフォームドコンセントは取得しなかった.主要評価項目は院内死亡率とし,試験施設と患者の血液型で補正したロジスティック回帰モデルを用いて推定した.

Results

2012 年 4 月~2015 年 10 月に 31,497 例を無作為化した.うち 6,761 例は登録基準を満たさず,無作為化後に除外された.主要解析では,血液型が A 型,O 型の 20,858 例を対象とした.うち 6,936 例を短期保存群,13,922 例を長期保存群に割り付けた.平均保存期間は短期保存群 13.0 日,長期保存群 23.6 日であった.死亡は短期保存群 634 例(9.1%),長期保存群 1,213 例(8.7%)であった(オッズ比 1.05,95%信頼区間 [CI] 0.95~1.16,P=0.34). 解析対象を全血液型の 24,736 例に拡大しても結果は同様であり,死亡率はそれぞれ 9.1%,8.8%であった(オッズ比 1.04,95% CI 0.95~1.14,P=0.38).事前に規定した高リスクの 3 つのサブグループ(心血管手術を受ける患者,集中治療室に入室した患者,癌患者)でも,結果は一貫していた.

Conclusions

一般入院患者集団では,利用可能な血液のうち保存期間がもっとも短い血液を輸血された患者と保存期間がもっとも長い血液を輸血された患者とのあいだで,死亡率に有意差は認められなかった.(カナダ国立保健研究機構ほかから研究助成を受けた.INFORM 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN08118744)